『銭ゲバ』のここがすごい!
2009/02/01
(1)風太郎の顔
一度見たら忘れられない、風太郎の顔。顔の半分は憎々しげに眉も眼もつりあがり、牙のような歯がのぞく。もう半分は眉も眼もたれ下がり気味で、悲しげな表情。特殊メイクでも再現しづらかったのか、ドラマでは傷を負った顔に変更されている。
(2)“悪”の描き方
動物虐待から公害まで。風太郎が為す“悪”は幅広く、相手構わず容赦ない。読者が安易に同情したり、共感したりできないように描かれているのだ。特に「い
き地獄」の章は、ここまでやるかと衝撃を受ける。しかもモンスターではなく、人間の行為として“悪”を徹底的に描いている。
(3)終章
風太郎は邪魔者をどんどん消していき、後半には政治の世界にまで進出する。だいたいの物語では、“悪”が栄え続けることはない。風太郎も最後は失脚するの
か? 「終章」はその一から五まであるが、一コマ一コマの絵の迫力に圧倒される。例えば「その三」の回想シーンで、風太郎の母が
五円のお金がない家もあるのです!というときの表情。「その四」の原稿用紙の上で繰り広げられる、架空の家庭生活。そして「その五」のラストシーン。読後はしばし茫然としてしまう。
ドラマを見ていてもいなくても、原作は読んでみてほしい。お金とは何なのか。考えずにはいられない作品だ。

<DATA>
タイトル:『銭ゲバ 下巻』
出版社:幻冬舎
著者:ジョージ秋山
価格:720円(税込)引用元
http://allabout.co.jp/interest/book/closeup/CU20090131A/index2.htm